これまで、どんな劣悪な経営状態の企業も立て直してきた稲盛氏の経営テクニックは、一般の家庭にも有効だった! みるみる家計がよみがえる、簡単なステップを見ていこう。

家計管理はダイエット、短期間で支出を調整

大きな組織を独立採算で運営する小集団に分け、その小さな組織にリーダーを任命して、共同経営のような形で会社を経営する。ここで言われる小集団が「アメーバ」で、独立採算の手法が「部門別採算制度」です。稲盛氏が社員全員の採算意識を高める目的で編み出した経営手法ですが、家庭では簡単な方法で「計画」の意識を浸透させていきましょう。

たとえば、食費や被服費、日用品費など、財布から支払う「変動費」の計画を月10万円に決めたとします。「1カ月でこれだけ」と考えていると、知らないうちに使い込んでしまうもの。家計簿が赤字を確認するための手段に成り下がっていることもあります。そうならないよう、使える変動費を日割り計算して、短期間で計画内に収めるように調整するのです。

変動費を月10万円にした場合は、10万円÷30日=1日約3333円。余裕を見て1日3000円にしておけば、月1万円近いバッファがあるため、多少オーバーする期間があっても、月末には調整できる可能性が高まります。まずは、1日3000円という金額を頭に叩き込み、変動費に含まれる支出の合計をカレンダーなどに書き込みます。月曜は2000円使って、計画どおりクリア。火曜は3500円でオーバー。だけど前日使わなかった1000円があるから、まだ大丈夫……という具合で計算していき、1週間単位で3000円×7日間=2万1000円と実際の出費を比べます。

まずは「自分が1日にいくら使っているのか」という金額に対する意識を高めることが重要。マメな人は、図のように「何にいくら使ったのか」も書き出してみよう。

支出を書き出していくだけなので、家計簿をつけたことがないようなズボラな人にも実践できますし、毎月小遣いが足りなくなって「1万円貸して」と妻に泣きつくお父さんも、自分の手帳に支出を書き出していけば、すぐに悪習を断ち切ることができます。また、数日で支出を調整するというやり方は「食べ過ぎた翌日はカロリーを控える」というダイエットの考え方にも似ています。特に女性にとって理解しやすい支出の管理法だともいえるでしょう。最初は計画どおりに収めることが難しくても、自分の支出を目で見て確かめるだけで意識は変わっていきます。

ファイナンシャル・プランナー 藤川 太
相談実績1万5000件超。「家計の見直し相談センター」相談員。
(大高志帆=編集・構成)
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