これまで、どんな劣悪な経営状態の企業も立て直してきた稲盛氏の経営テクニックは、一般の家庭にも有効だった! みるみる家計がよみがえる、簡単なステップを見ていこう。

家族会議では数字よりも熱意を

稲盛氏の「アメーバ経営」を実践する企業では、一介の社員レベルにまで「フィロソフィ」を浸透させ、「全員参加型経営」を実現させるために、「部門ミーティング」に力を入れています。ここでリーダーが、自分たちの部署が会社にとってどのような存在意義があるのかを語り、今後進むべき方向性について自らの言葉で示すことで、目標達成に向けてメンバーの士気を高めるのです。フィロソフィは単なる「ノルマ」ではなく、「哲学」なので数字を読み上げるだけでなく、熱意を伝えることが重要です。家庭でも定期的に「家族会議」を行い、モチベーションを上げていきましょう。

といっても、すでに人生計画が定まっていれば、話は簡単です。ここまでに実践してきたステップを家族で確認し、家計をさらに計画的に運営するための提案を行えばいいのです。部門別ミーティングでも、現場の担当者が感じる些細な問題や提案が重要視されますが、家族会議でも同じです。「スマホに機種変更したことで上がってしまった通信費を抑えるために、家族はLINEで連絡を取り合ってはどうか」と提案したり、家族旅行とパソコンの買い替えのどちらを優先すべきか話し合ったり。子どもが志望校を公立から私立に変えるなどの大きな変更があった場合は、ライフプランシートを書き換える必要もあるでしょう。

社員にも会社の経営状況を「ガラス張り」にして伝えるのが稲盛式の経営術です。これは各家庭の考え方次第という部分もありますが、私は子どもにもわかるよう、家計の状況を説明するのが、家庭における「全員参加型経営」の理想形だと思っています。家計を担う一員として、子どもも自分の教育費やお小遣いが家計でどのくらいのウエートを占めるのかくらいは、知っておくべきではないでしょうか。お金に関する考え方は、家庭での教育や小さい頃からの習慣によるところが大きいものです。子どもの頃から現実的な資産運用について考えた経験は、近い将来必ず役立ちます。家庭での「全員参加型経営」の実現は、子どもの経済感覚も育てるのです。