これまで、どんな劣悪な経営状態の企業も立て直してきた稲盛氏の経営テクニックは、一般の家庭にも有効だった! みるみる家計がよみがえる、簡単なステップを見ていこう。
フィロソフィがないと家計はいずれ破綻する
稲盛氏はこれまでに何度となく、企業が「フィロソフィ」(=経営哲学)を持つことの重要性を述べています。
【1】フィロソフィとは、会社の規範となるべきルール、規則、約束事である。
【2】フィロソフィとは、どういう会社にしていきたいのかという、会社の進むべき目標・目的を達成するための考え方である。
【3】フィロソフィとは、企業に人格(社格)を与えるもので、素晴らしい社格とは、人間としての正しい生き方が示されていなければならない。
人としても正しい「哲学」をもとに、「全員参加型経営」を実現していくのが、崖っぷちの企業を何度も再生させてきた稲盛式経営術の神髄なのです。
フィロソフィを持つことは、家庭にとっても重要です。どういう夢や目標に向かって家計を運営していくかによって、方針も変わってきますし、家族として守らなければならないルールも変わってくるからです。また、方向性が定まらない状態では、ただ闇雲にお金を使ったり、貯めたりすることになるので、非常に非効率的です。
とはいえ、私のもとへ相談に来る方たちに聞いてみると、意外にも「なんとなく」家計を動かしている人が多いのも事実。そして、彼らは先の見通しが立っていないので、子どもの入学や車検の年になって「急な出費があって困った」と頭を抱えます。しかし、それは本当に「急な出費」でしょうか。子どもが中学に入学する年も、高校に入学する年も、生まれたときから決まっていますし、車検のタイミングも車を買ったときにわかります。
きちんと計画を立ててさえいれば、多少は苦しいかもしれませんが、準備ができたはずです。仮に、こんな「行き当たりばったり」の経営者がいる企業が上場していたとして、そんな会社の株は絶対に買いたくありません。