まずは妻に小遣い制を導入した。目的は、家計と小遣いを切り分けること、決められた金額の中でできることを選択してもらうことだ。そうすると例えば、「ジムはお金だけ払って行っていないからやめてもいい」などとなる。交際費や娯楽費に計上されていた分も、同様に選別するようになった。被服費は、元々“本物志向”のいいものがそろっていたので、できるだけそれを活用するようにした。

ところで、新居田家の家計見直しで最も大きく支出を減らしたのは「住居費」である。なんと郊外に自宅を構えながら、おそらくは妻の“遊び用”で、都心近くにワンルームマンションを借りていたのだ。その額は月9万円。これは「見直せませんか?」と聞いたところ、背に腹は代えられないということで、なんとか解約してくれた。

ともかく、赤字だった家計は黒字に改善。妻は「私、20万円も残せるようになったの」と上機嫌だ。お金はどんどん貯まっていく。すると夫妻は「このまま置いておくのももったいない。ちょっと勉強して、運用してみようか」という話になった。それ以来、投資・運用にはまった夫が家計に興味を持つようになった。資金を捻出するには、どうやって家計の支出を抑えるか、という視点からである。

ところで、お金を投資・運用するにはリスクも伴う。だからまず、生活防衛資金として給料の6カ月分を貯蓄したうえで、今後予想される大きな出費に備えるための貯蓄ができていることが大前提(上図参照)となる。そのお金を確保できたならば、その後は、給料の20~25%ずつを投資・運用に回しても、少しのリスクなら許容範囲となる。

最近は退職金でリスクの高い運用をして、大損したなどという話も聞く。運用しなければ老後資金が足りないという不安の裏返しともいえる。しかし、経験もないのに、いきなり大きなお金を運用するのは危険。退職金をもらうまでに、少額でも投資・運用の経験を積んでおくことが得策といえそうだ。

家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、9000件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。
(小澤啓司=構成)
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