震災で債務超過に!
――これまでをふり返って、一番のターニングポイントは何でしたか。
【針生】それはもう「3.11」。絶対的なパラダイムシフトですね。過去にも商流と物流の違いへの戸惑いや、資金力不足の壁などにぶつかりましたが、何とか乗り越えられました。だけど東日本大震災の大津波で壊滅的な被害を受けて……、数億円の債務超過に陥ってしまったんです。
――億単位、ですか。
【針生】ええ。もうキャッシュフローが行き詰まり、本当に厳しかった。それが、昨年の2月末をもって、債務超過を脱出できました。本当に金融関係とか、国、多くの皆さんに支援をいただいて、舞台ファームは残るべき農業会社だという位置づけで支えられ、当然、われわれもそれに向かって全力で走ってきました。農業法人は全国で2万社ぐらいありますが、赤字の法人も相当多いんですね。そういう意味では、私どもの経験は、債務超過からの脱出のロードマップ。日本の農業の法人、個人の方々が赤字体質からどうやって黒字へ転換するか、農業を再生するかというロードマップを、僕が代理でいち早く経験させてもらったと思っています。
――具体的に赤字体質から黒字への転換の秘訣って何でしょうか。
【針生】よく「TPPが大事だぞ」って言っているんです。うちのTPPは、テッテイ的にパクッて、パクリ倒す(笑)。農業生産法人で年商50億円、70億円のところがありますよね。畜産関係には企業体も多い。そういう先行者の方々のやり方を徹底的に研究しました。
経営的にはPLとかBS、キャッシュフローとかCR(製造原価明細書)を分析して、その社長の考え方、方向性、ヒストリーを勉強しました。で、新しいモデルを生み出そう、と考えます。最終的には誰かのモノマネじゃなくて、われわれの舞台に、プラットフォームに情報をすべて集めて、僭越ながら先頭を切って面白い仕組みをどんどん生み出しているわけです。