朝日を浴びて、メラトニンを生成させる
良質の眠りを得るための具体策として、まず意識したいのは朝日を浴びることだと西多さんはいう。
「朝の光を浴びておくと、夜になって入眠を促すメラトニンの生成が増えて、寝つきやすくなります。時間は最低でも30分。朝、ランニングをする習慣があれば、運動もできて一石二鳥です」
室内の場合、窓から離れると光の量が減少する。窓際で新聞を読むなど、意識して浴びたいところだ。
もちろん、通勤の途中でも朝日を浴びる機会はあるが、問題は駅直結型のマンション。オフィスも駅直結だとすると、朝日を浴びるチャンスがなく睡眠にはマイナス要因だ。
「朝が難しければ、昼休みはオフィスにこもらず、公園など屋外でお弁当を食べたり、コーヒーを飲んだりするといいでしょう。午後2時ぐらいまでの光なら、メラトニンの生成を促す効果はあるといわれています」
朝とは反対に、寝る前に蛍光灯のような強い光を浴びるのは禁物だ。脳が覚醒して寝つきが悪くなりやすい。同じ理由から、スマホやパソコンも就寝前に見るのは避けたほうがいいそうだ。
さらに、寝るスペースの環境を整えることも良質の睡眠には不可欠だ。
「アメリカに来てベッドのマットレスが変わったら、たちどころに眠りが浅くなりました。枕も布団も同様で、自分に合うものを選べば眠りの質は確実に向上します。これからの季節、暑くて寝苦しい夜が増えますが、これはもうエアコンで対処するしかない。最近のエアコンは体に優しくて、電気代が抑えられるタイプが登場していますから、買い替えてもいいでしょう」
寝具にしてもエアコンにしても、良質の睡眠にはそれなりの投資が必要というわけだが、
「飽きて使わなくなるような健康器具を買うよりも、よっぽど堅実で収益性の高い投資だと思いますね」
精神科医・医学博士 西多昌規(にしだ・まさき)
スタンフォード大学医学部睡眠・生体リズム研究所客員講師。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、国立精神・神経医療研究センター病院、ハーバード大学医学部研究員を経て現職。『職場にいる不機嫌な人たち』など著書多数。
スタンフォード大学医学部睡眠・生体リズム研究所客員講師。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、国立精神・神経医療研究センター病院、ハーバード大学医学部研究員を経て現職。『職場にいる不機嫌な人たち』など著書多数。