ビル・ゲイツやサンドバーグも睡眠を重視
仕事のパフォーマンスを高めるには、眠りを充実させる。ビジネス界においては、もはや常識の話だ。
「『アマゾン』の創始者、ジェフ・ベゾス、『フェイスブック』のCOO、シェリル・サンドバーグ、『マイクロソフト』の元CEO、ビル・ゲイツ……。成功を収めた人たちは揃って、睡眠の大切さを語っています。若い頃は睡眠時間を削って仕事をすることもあっていい。ただ、年齢を重ねたら、やはり睡眠の取り方が仕事のパフォーマンスを左右することになります」
こう話すのはスタンフォード大学医学部睡眠・生体リズム研究所客員講師で、精神科医の西多昌規さん。西多さん自身、多忙な中でも7時間前後の睡眠を確保しているそうだ。
「ただ、大切なのは長さよりも質。睡眠時間は7~8時間が理想と唱える説もありますが、長さは個人差がある。5時間でも十分という人がいれば、10時間は寝たい人もいてまちまちです。逆に、長く寝たのにぼーっとして気だるい、日中あくびが絶えないといったことがあれば、眠りが浅い証拠。睡眠の質を高める必要があるでしょう」
その方法は後述するとして、そもそもなぜ、眠りは仕事のパフォーマンスに影響するのだろうか。
西多さんによれば、睡眠は脳の海馬や前頭葉と深い結びつきがあるという。
「睡眠が足りないと血流が悪くなり、脳の栄養となるブドウ糖の代謝も落ちます。それにより、記憶を司る海馬や判断に関わる前頭葉の働きが低下してしまう。慢性的な睡眠不足の場合はもちろん、一晩寝なかっただけでも海馬や前頭葉に悪影響が出ることがわかっています」