認定されたのに、太陽光発電設備をわざと設置しない

「再エネを安上がりに導入していく」ために、私が最低限必要と考える改正項目は、以下の6つである。

(1)買い取り価格の抑制

必要性は認めるものの、電力の全面自由化の流れの中、再エネだけ固定価格での長期買い取りが保証されるFITには疑問符がつく。FITでは1年ごとに買い取り価格が見直される。施行以来、太陽光以外の買い取り価格は当初の水準のままだが、太陽光の買い取り価格は毎年引き下げられている。下げ続ければいいわけではないが、太陽光の買い取り価格水準を当初あまりにも高くしすぎたことが響いている。この弊害は、30年時点での再エネ買い取り費用総額3.7兆~4.0兆円のうち太陽光の分が6割超の2.3兆円という見通しにも表れている。

FITは、太陽光発電事業者にとっては認定当初の高値の買い取り価格を長期保証してもらえる半面、電気の一般消費者にとっては高額の再エネ賦課金で事業者の長期間のサポートを強いられる制度でもある。今後、コスト高を是正していくためには、太陽光の買い取り価格の見直し周期を現行「1年」から「1カ月~半年」程度に短縮して、より柔軟に対応すべきだ。

諸外国のFITで導入されている「導入量に応じた価格逓減率の設定」や「入札制度」も検討に値しよう。

(2)買い取り電気量の抑制

買い取り価格に加え、買い取り電力量をどの程度まで許容するかは、再エネ導入にかかる国民負担との関係で重要な課題となる。

現行のルールでは、地域ごとの電力需要等から算定された接続容量を超えて接続する発電設備は、無補償での発電抑制を無制限に行わねばならないが、これは技術的制約ゆえ。国民負担の抑制とは観点が異なる。

現行法では、一定の条件を満たす設備には基本的にすべて国の認定が行われることとなっており、制度上、再エネ買取電力量をコントロールできる仕組みとはなっていない。例えば、再エネ振興に支障のない範囲、すなわち送電系統の安定に支障がなく国民負担も適正な範囲で年間買い取り総額の上限を設定し、定期的に更新していく方法が合理的だ。