(3)“既認定・長期未稼働”の設備

発電設備の設置を決めてから運転を開始するまでのリードタイムは、太陽光は数カ月、水力・地熱・バイオマス・風力は数年以上である。

今、問題となっているのは、認定を得たのになかなか稼働を始めない太陽光発電設備の激増だ。認定後は速やかに設置すべきなのに、設備の価格が下がるまでわざと設置しない事案が非常に多い。そこで、出力400キロワット以上の案件については国が報告徴収を行い、設置場所・設備が未決定で事業継続が見込まれないと判断されたものは認定が取り消されている。が、報告徴収対象外となる小規模案件については、現時点で特段の対応は行われていない。

こうした“既認定・長期未稼働”の存在を放置しておくことは、再エネ買い取り法の趣旨を逸脱し、高額の長期買い取りが保証される“おいしい権利”の悪用にほかならない。

2015年9月25日発表の経産省資料によると、12年7月のFIT施行時から直近15年9月までに、太陽光発電設備に関する認定件数175.8万件のうち未稼働件数は71.4万件(41%)、認定出力8276万キロワットのうち未稼働出力6262万キロワット(76%)。これではダメだ。

そこで経産省は、認定取得後は一定の規律に従って長期安定的な事業実施を促す仕組みづくりとともに、認定情報を原則公表する案を提示している。確かに1つの進歩的な案だが、根本的な解決からは遠い。

また、表の出典資料では、「認定→接続可否の検討」という手続きを「接続可否の検討→認定」に改正することも検討されている。これにより、系統に接続可能なものだけが認定されることになるが、大きな権利を付与するのだから、本来そうあって然るべき。その際、電力会社に過度に業務が集中するのを避けるため、地域ごとに第三者機関を設置して接続可否のチェックに当たらせることも検討されたい。加えて、買い取り価格を認定時ではなく運転開始時のものとすれば、長期未稼働案件の減少につながるはずだ。

さらに、認定設備の状況を監督当局が効率よく察知できるよう、定期検査を義務付けるとともに、正当な状態にある認定設備についてのみ認定効力を継続させるために「更新制」を新設する必要がある。