原発を稼働させた分の一部を負担軽減の原資に

(4)再エネ賦課金は電気だけ?

再エネや原子力などCO2を排出しないエネルギー源からつくる電気の割合を増やすことは、CO2排出量削減には有効だ。が、再エネ賦課金が電気料金だけに賦課されるFITは、重油・灯油・都市ガス・LPガスといった電気以外のエネルギー源、つまりCO2排出量を増やす化石燃料へのシフトを促す要因になる。これは地球温暖化対策に逆行する。

そこで、(a)一般財源から充当、(b)石油石炭税や温暖化対策税を充当、(c)賦課対象を電気料金以外のエネルギー料金に拡大、といった代替案が考えられる。うち最も実現する可能性が高いのは(b)であろう。石油石炭税や温暖化対策税の税収を再エネ導入拡大に使うことは可能だし、税の目的にも合致するからだ。

(5)再エネ賦課金を低減するには

今までFIT認定を受けた案件は、今後10~20年間の買い取りが保証され、今後運転を開始する分は、新たに巨額の国民負担を発生させる。1兆円を超えたこの負担を肩代わりする資金を、どこからか捻出できないものだろうか?

そこで提案したいのは、原発を高い稼働率で稼働させた分(例えば、震災前の06~10年の5カ年平均稼働率は約65%。これを諸外国並みの約90%まで引き上げた場合の増分)の一部をここに充当する原資にするという方策だ。私の試算では、東京電力・柏崎刈羽原発を稼働率約90%で稼働させると、年間1兆円程度の利益増効果が出る。政府や電力会社は、原発の高稼働率稼働に係る試算をしておくべきだ。