冬の定番は、とばっちり?

また、こうしたビアガーデン業態と連動して増えているのが、「バーベキュー」を打ち出した飲食店です。バーベキューと言えば、山や海、あるいは自宅の庭などで楽しむのが一般的ではありますが、このところ飲食店が「手ぶらでバーベキュー」というコンセプトで集客を図っているのです。バーベキューでは準備や片付けの大変さがネックですが、それらを店がすべてやってくれるならば楽なものです。

塊肉やソーセージ、あるいは焼とうもろこしなど、行き慣れた焼肉店とは違う食材を食べられて、しかもテラス席で気持ちよく飲食ができるということで、特に大勢でワイワイ楽しみたいときに選ばれているのです。こうしたバーベキューをウリにした店舗も、夏の時期に限らず、真冬以外であれば多くの人が好んで利用しています。ちなみに真冬であっても、テラス席に屋外用暖房器具を置いている店舗は多く、それらの席も意外に稼働していることは多いものです。

ところで飲食業界の中で、ビアガーデンやバーベキューの隆盛と反比例するかのように、存在感を徐々に失っているように見えるものがあります。それは「鍋料理」です。もちろん、家庭において鍋は依然冬の定番のポジションをとっています。寒い季節に外食で鍋料理を食べる人も多いでしょうし、今後それがなくなるわけでもありません。

しかし、数年前までは鍋を名物にした飲食店に対して、もっと注目が集まっていました。もつ鍋、コラーゲン鍋、カレー鍋、火鍋、トマト鍋など、毎年のように「今年注目の鍋」がメディアで取り上げられ、それらを名物にした飲食店も実際にかなり集客していたのです。ところが、この数年そうした話題を目や耳にする機会がぐっと減っているのを感じます。