1年後より“いまを大切に生きる”重要性

その後、妻はすぐによくなったのですが、下手をすれば、肺炎で命を取られていたかもしれません。妻の従姉弟が20代の若さで、インフルエンザで命を落としていたため、この考えがおおげさには思えませんでした。ただ、私のように風邪や肺炎で119番に電話するのをためらう人は、多いかと思います。

そこで、ひどい風邪や肺炎で救急車を呼んだほうがいいのかどうか迷った場合、どうすればいいのかをネットで検索してみると、「救急相談センター」(♯7119)に電話すればいいことがわかりました。この電話では、相談医療チーム(医師、看護師、救急隊経験者などの職員が24時間年中無休で相談に乗ってくれるのです。これなら気軽に電話することができ、手遅れになる心配が激減します。

このときは大事に至りませんでしたが、がん闘病者が家族にいるにもかかわらず、「救急相談センター」の存在を知らなかったことを反省しました。つくづく自分がダメ夫であることを、あらためて痛感したのです。

“いまを大切に生きる”重要性を解く人は結構います。これは健康に関係なくいえることではないか、と思っています。ただ、がん闘病者の場合、「5年生存率」がよく取り上げられるように、人によっては5年後、生きていない可能性があります。なかには1年後さえ、自分の命がどうなるかわからない人もいます。

妻の場合、肝臓にがんが転移したとき、主治医から「治療をしなければ、2カ月持ちません」といわれました。このとき私は、「治療を受けたとしても、効かなければ、ママの余命は数カ月なのか」と愕然としました。ただ、気持ちの整理がついてから、“いまを大切に生きる”ことの重要性を痛感しました。“いまを大切に生きる”ことができなくては、長生きすることにつながらないように、と思えたのです。たとえ長生きできたとしても、不毛な人生を送ることになりかねない、と思いました。少なくとも、“いまを必死になって生きる”ことが重要なように思えました。そうすることで、ひいては人生の質を上げることができる、と思ったのです。

また、近い将来、たとえ妻が亡くなるようなことがあっても、悲しむだけ悲しんだあとは、「普通の夫婦と同じくらい、ともに時間を過ごせたじゃないか」と自分に言い聞かせよう、と思うようになりました。このような覚悟を決めておかければ、やっていられないからです。

夫婦の時間をたくさんつくることができるのは、私がフリーのライターで、自宅で仕事をしているからです。貧乏暇なしの不安定な仕事ではありますが、この点においては、この仕事をしていてよかった、と思っています。もちろん、近い将来、がんを治せる薬が発明されることを、期待せずにはいられません。

【関連記事】
医者のがん告知を「冷静に受け入れる」と早死にする
ますい志保「叩いて叩いて叩け! 余命半年『見えない敵』に勝てた理由」
なぜ無駄遣いをすれば、「がん余命は延ばせる」と思ったのか?
がん患者が嬉しい言葉、つらい言葉
余命宣告から「自然治癒」に至った事例が放置されてきた理由