さらに、現場の事情を理解せずに理不尽なことを押しつけるような上司も結構いるでしょう。たとえば、クライアントの要望でキャンペーンを打つことになったのに、上司は「そんな経費は出せない」の一点張り。揚げ句に「そんなにやりたいなら自費でやれ」と言い出す始末。これは、「わかりあえなさ」が原因になっています。

この場合、どんなに論理だてて説明しても平行線を辿るだけ。であれば、相手を巻き込むのが賢い方法です。

「経費が出せないと伝えてもクライアントは納得しません。部長から直々にお話くだされば、きっとわかってもらえると思うのですが……」

こう言えば、上司は自分が動くか、経費を認めるかのどちらかを選択しなければなりません。口を出しても手は出さない上司には有効な手段です。

相手を自分のコントロール下に置こうとする上司に対しては、怒りを嫌みにして返してもいいでしょう。そのときに怒りを買わないようにするには、相手が悔しがるぐらいにうまく毒をきかせてほしいと思います。

たとえば、「一度、言ったことがわからないなんて。君はバカか?」と見下した言い方をされたときには

「一度聞いてわかる説明でしたら、私も理解できるのですが。もう一度、わかるように教えていただけますか」

「頭が悪くて申し訳ありません。部長なら、バカな私でも理解できるように教えてくださいますよね?」

とチクリ。「説明がわかりにくいから理解できない」と遠回しに言うことで、快感原則を満足させつつ現実原則にも比重を置くことができます。