自分の中の怒りを「自覚」し、「分析」する

では、どうすればいいのか。最初にすべきなのは怒りの自覚です。怒りは誰の心にもあって当たり前の感情なのだと自覚して、向き合ってください。

なかには怒りの感覚を自覚できない人もいます。よいことのように思われがちですが、怒りが自分でも気づかぬうちに蓄積されて、心や体に変調をきたすことがしばしばあります。実際、どうも気が滅入るという患者さんを診察したところ、気分が落ち込む原因は上司からの叱責だったというケースがあります。自分の怒りに気づくことは、自分を守るためにこそ必要なのです。

次のステップは怒りの分析です。怒りの原因は以下の3つに分類できます。

(1)自尊心の傷つき
(2)自分の利益の侵害
(3)わかりあえなさ

このうち、(1)は自分の生い立ちを揶揄されるなど侮辱を受けたときや、自分の努力を認めてもらえなかったときなどに生じます。仕事でいえば、自分が提案した企画が「くだらない」とにべもなく却下されたときなどに感じる怒りが典型でしょう。

(2)は自分の利益になるはずのものを横取りされたとき。たとえば、自分が努力して取ってきた契約をまるで上司の手柄のように社内で評価されたら、怒りを覚えるのではないでしょうか。

(3)の「わかりあえなさ」とは感情のすれ違いです。自分がよかれと思ってしたことが、相手にとっては迷惑だったという経験は誰にでもあるでしょう。「せっかく相手のためを思ってやってあげたのに」という思いから怒りが生まれてしまうのです。

自分が怒っていると感じたときには、これら3つのどの怒りにあてはまるのかを分析してみてください。そうすれば、怒りを客観視でき、冷静になれるでしょう。先ほどの天秤でいえば、快感原則に傾いていた状態を現実原則に引き戻すことができるのです。