局部、胸、尻で異なる値段。高額なのは?

相手が嫌がることを「言って」も「して」もセクハラになってしまう。とはいえ、昨年の高橋大輔さんの例もあるように、女性から男性へのセクハラが認められるケースは非常に少ない。「50歳の女性上司からキスをされた!」と新入社員が警察に駆け込んでも、警察官は「よくあることですよ。告訴状についてはいろいろ考えてから警察で対応しますから」などと言って、笑って追い返すだろう。男性が被害者になる強制わいせつ事件など、事実上100件に1件もないのではないだろうか。警察も検察も裁判所も、これに関しては世間と同じ感覚なのである。そのため、セクハラでは圧倒的に女性が有利だ。

また、同じセクハラでも、言葉だけの場合より、体に触った場合のほうが量刑が上がる傾向にある。たとえば、中学の男性教師が、仕事上のトラブルから被害女性を恨み、「女の武器を使う」「男さえいれば性的に満たされるのに」などと暴言を吐き続けたケースでは、人格権の侵害が認められ、50万円の支払いが命じられた(1997年、大阪地方裁判所判決)。一方、会社会長が新入社員の営業車に乗り込み、デートに誘ったり、太ももをさすったりしたケースでは、1回のみで80万円の支払いが命じられた(96年、大阪地方裁判所判決)。体に触れることで、強制わいせつが認められることも多い。

セクハラや痴漢などで女性の体を触る場合、尻→胸→局部の順に量刑が上がり、服の布地越しであったか、服の中にまで手を入れたかでも量刑に差が出る。また、「手袋をしていたから量刑を軽くしてほしい」と主張することもある。素手で直に局部に触れることが、この分野では一番の重罪なのだ。