一方、円安のときに投資して為替差損が生じるケースなら、今年中に解約しても非課税のメリットはないので、慌てて解約しないこと。むしろ、来年以降に解約するほうが有利になる。というのも、来年以降なら、外貨建てMMFで生じた為替差損を、株式やETF、株式投資信託などの利益と損益通算できるようになるからだ。

仮に外貨建てMMFで10万円の為替差損が生じ、同じ年に株式で30万円の売却益を得たとする。損益通算では、30万円の利益から10万円の為替差損を引くことができ、全体の税負担を抑えることができる。損失のほうが大きい場合には、確定申告すれば、以後最長3年間にわたり損失の繰越控除を受けられる。つまり、税制面から考えると、為替差益が得られるなら今年中に、為替差損が生じるなら来年以降に解約するのがいい。

なお、外貨建てMMFは来年1月から「特定口座」に入れることができる。特定口座とは、個人投資家の申告・納税を簡素化するための口座で、「特定口座・源泉徴収あり」という口座を選べば、自動的に申告・納税が済む。特定口座で取引をすれば、為替差益を得ても自ら申告の手間をとる必要はない。

今年中に投資した分を特定口座に入れられるかどうかは明らかになっていないので、保有している人は金融機関の情報を注視してほしい。

ところで、外貨建てMMFに似た商品に「外貨預金」がある。外貨預金では為替差益にも課税されるため、外貨建てMMFのほうに優位性があるとされてきたが、来年以降も変わりはない。投資する際と換金する際の2回かかる為替手数料は一般的に外貨建てMMFのほうが安く、運用利回りも高いからだ。

米国が一層の円安ドル高を容認するとは考えにくく、米ドルへの投資で短期的に大きな為替差益を得るのは難しい。しかし、資源の多くを輸入に頼る日本にとって、円安は物価上昇に直結する。外貨資産を保有していれば、円安で資産価値は高まり、物価上昇によるダメージに対するリスクヘッジにもなる。

(構成=高橋晴美)
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