浦和駅前のブランド地名とは
そんな中目黒と対照的なのが、埼玉県庁のある街、浦和である。京浜東北線などJR各線に乗れば乗り換えなしで都心へ30分程度で着く、東京のベッドタウン。最近、上野東京ラインが開通し、交通の便がますます充実した。マンション価格は浦和駅徒歩10分くらいの70平方メートルで5000万円から。郊外にしては高価だが、中目黒と比較すれば、当然家賃も安い。
浦和といえば、熱狂的なサポーターでお馴染みの浦和レッズが有名だが、実は教育熱心な家庭が極端に多いことも、埼玉県民のみならず、教育パパ&ママたちの間によく知られている。東大合格者が多く、高校生クイズ番組で全国的にも知名度が高い県立浦和高校をはじめ、高偏差値高校がいくつかあるだけでなく、公立小学校数校と埼玉大学附属小学校の評判がすこぶる高いのだ。一度浦和を出ても、子供ができると「わが母校」に通わせたいとUターンする家族が多いらしい。筆者自身も浦和在住歴5年だが、不動産広告最大の売り文句が「常盤小学区!」「高砂小学区!」といった「学区推し」だったこと、そして、評判の高い小学校がある住所は「県内のブランド地名」と寸分違わず一致することに最初は驚いた。
「実際、学区のために転入する例は珍しくない」と言うのは、自身も息子の小学校入学のために数駅東京寄りの埼玉県川口市から引っ越してきた元モデルママBさん。夫は広告系会社員だ。当初は川口市内の小学校に通わせるつもりだったが、浦和の評判を聞いて「できることなら、教育環境が整う地域で育てたい」と考えが変わったという。
浦和駅周辺の公立小学校の中学受験率は最低でも3分の1以上。いざ引っ越してみたら、噂に聞いていた「浦和の教育熱」は想像以上だったそうだ。それに伴い、ママ友同士の会話も大きく変化した。
「皆さん、教育に関して情報通。子供の教育に役立ついろいろな情報を交換できて、刺激を受けています。可能な限り、良い教育環境を与えたい。うちの子もいくつか習い事をさせていますが、塾のほか、クラシックバレエから将棋まで10個ぐらい習い事を掛け持ちするお子さんもいますよ。子供の個性が何に向いているか、いろんな経験をさせたほうが見えやすいですから」