同社はこのコムトラックスをきっかけに建機のICT化に着目し、2008年には世界初となる超大型ダンプの無人運行システムを南米チリの鉱山で稼働させた。13年から市場に投入したICT建機も、その流れをくむ「ダントツ商品」の一つである。
これまでも建機をICT化する商品は発売されているが、それらは通信機器などを外付けするもので、行える作業も限られていた。一方、コマツは建機そのものをICT化し、工事の全工程にわたっての電子制御を可能にした。
開発を担当した情報化建機開発グループ部長の山本茂は、「目標は5年間、他社に追いつかれないこと」と語る。
「水平方向で±10ミリ、高さ方向で±30ミリという精度を実現しています。特に情報化施工の先進国である北米や欧州では、ICT建機のような商品が強く求められていました。以前から開発は続けていましたが、コンピュータやGPSの性能が高まったことで、現場に投入できるレベルまで精度を高めることができた」
山本の言葉通り、ICT建機が最初に発売されたのは北米や欧州だった。
そんななか、今年1月に社長の大橋徹二が日本向けの新事業として発表したのが、測量や工事計画、施工確認まで工事全体の効率化を提案する「スマートコンストラクション」だった。
(小倉和徳=撮影)