狩猟型より農耕型のモノづくりの強さ

「みどり会」と呼ばれるコマツの協力企業組織は、再編と統合を繰り返して現在、145社。高橋によれば「長いところで70年の付き合いで、そろそろ3代目の社長も出てくる」という関係で、北陸地方だけで28社の協力企業がある。

「みどり会」の会長を務める長津工業の津田繁男社長。

「みどり会」の会長を務める長津工業の津田繁男社長。

みどり会の会長会社である長津工業(本社・京都市伏見区)は、コマツからトランスミッション部品などの増産要請を受け、04年7月に小松西工場を立ち上げた。その後、さらなる生産増の追い風に乗り、05年3月に第2棟、06年10月には第3棟と次々に工場を増設し、目下フル生産の状態が続いている。

長津工業のコマツに対する売上高依存度は95%以上を占め、一極集中の感は否めない。が、07年4月からみどり会の会長を務める津田繁男社長は、一般のケイレツ関係とは異なる、コマツ独自の協力企業組織を次のように説明した。

「トランスミッションを構成するケースやシャフトなど、うちには技術的なシーズがなかったのに、コマツからヒトの応援も受けながら1年半かけて技術移転してもらいました。コマツにとって協力企業はあくまでイコール・パートナーであって、主従関係のように抱え込んでがんじがらめにするようなことはありません。コマツの幹部がよく“暇になっても仕事を引き揚げない”“筋の通らない値下げはしない”と言ってくれますが、お互いに『Win-Win』の関係を追求するのがみどり会の最終目標といえます」

コマツはグループで共有すべき価値観や行動指針を「コマツウェイ」にまとめ、コマツだけの利益を求めない「Win-Win」の関係構築を明確に打ち出す。

コマツの製品に使われる部品の約7割を協力企業に依存する現実を踏まえ、購買本部長である梶谷鉄朗執行役員は、「欧米的な狩猟民族の関係ではなく、日本的な農耕民族の関係でモノづくりを強化していくのがみどり会の目指す世界です。狩猟型はこっちの獲物がいいと、発注先もポイと変えてしまう。でも、それでは本当のモノづくりの強さにはつながらない。農耕型で一緒に知恵を出し合ってよい図面をつくり、来年は今年より収穫を増やそうという関係が大事です」とコマツウェイの基本理念を語る。

現在、コマツの海外生産工場は45カ所を数え、海外での売り上げが全売上高の8割を占め、その6割が海外工場で生産される。同一品質の製品を日本と同時に海外で生産できるグローバル体制を支援するのがマザー工場であり、日本国内の10拠点がその中心的な役割を担う。