土木・建設の現場が「危険で汚くキツい」のは、過去の話だ。最新のITを使えば、そこは「安全で効率的な職場」に変えられる。建機業界の雄が挑む「工事現場のスマート化」とは――。
レンタル料は3倍でも「十分に元が取れる」
利根川の見上げるような堤防の緑が、初夏の日差しを受けて色濃く輝いていた。コマツの「PC200i」という油圧ショベルが、その下で規則正しい動きを繰り返している。現場に出て2年目という20代のオペレーターが行うのは、1メートルの深さで土を掘り進めていく作業。すでに50メートルほどの工程がきれいに仕上げられており、その動きには無駄や迷いが感じられない――。
JR栗橋駅から車で30分、国土交通省発注の堤防強化工事が行われる現場を訪れると、土木工事の経験者ほど不思議な感覚を抱くはずだ。なぜなら、通常の工事であればあって然るべきものが、この現場にはないからである。
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