ドストエフスキーを捨てました
40代に入ってわが身を振り返ると、「自分はこのままでいいのか」などと焦りや迷いが生じがちです。しかしその一方で、気力・体力・知力も充実し、人生の中では最も恵まれた年代でもあります。
その充実期に足りないものがあるとすれば、50代以降に自分を伸ばすための糧を蓄える時間的、精神的な余裕がなかなか持てないことではないでしょうか。
しかし、これは大きな課題です。私の経験から言えば、40代の生き方で50代が決まり、50代の生き方が60代を決めたという感触があります。働き盛りの一番忙しい時期に、プラスαの自分をどう再発見するか。これは後の人生を左右するとても大きな要素です。
そこで大切なのは、スキルよりむしろ教養力を高めることだと思っています。20代でも30代でも、人はそれなりの教養を身につけてきてはいます。しかし、ここでいう40代からの教養は、いわば「自分をよりよく変えていくための知的行動」。人間的な幅を広げていくための新たな基盤づくりともいえるものです。
学生にもよく話しますが、教養は世界共通で、投資の負担も小さい最高のブランドです。仕事における交渉事などでも、業務の知識や技術を持っているのが当たり前だとすれば、次に差となるのは人間性や信頼性です。これを表すのが実は、その人の教養の高さなのです。