名古屋で朝に宅急便を出せば、その日のうちに東京で配送する。高齢者の世帯に、ほしい品を必要な数だけ、必要な日に届ける。各地の特産の果実や鮮魚などを発注すれば、夜中のうちに沖縄の拠点に集め、翌日には香港に届ける。こうしたサービスは、すでに実現している。ネットでの買い物がいくら進化しても、品物を届ける手段は不可欠だ。FRAPSを進化させれば、まだまだ、奥は深い。
消費者だけではない。町工場が必要な少量多品種の部品も、同様だ。だから、2年前に「バリューネットワーキング構想」を打ち出した。荷物が流通していく間に、様々に手を加え、届けばすぐに使えるようにする。ときには加工もして、価値を高めていく。その仕組みを、誰もが使えるプラットホーム(共通基盤)に仕上げたい。
構想が実現していけば、こちらがあれこれ動かなくても、お客さんのほうで集まり、プラットホームを中心に動いてくれるだろう。新たな「北辰居其所」の誕生だともいえる。
2019年は創業100周年。そこへ向け、あらゆる荷物の物流で、日本ならではの「最高の安心・安全」も実現していきたい。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、世界の人々にそれを知ってもらい、「自国にもほしい」と感じてもらいたい。
そのためのプロジェクトも、すでに立ち上げた。
ヤマトホールディングス社長 山内雅喜
1961年生まれ。84年金沢大学文学部卒業、ヤマト運輸入社。2003年ヤマトホームコンビニエンス取締役事業戦略室長、05年ヤマト運輸執行役員東京支社長、08年ヤマトロジスティクス社長、11年ヤマト運輸社長。15年より現職。
1961年生まれ。84年金沢大学文学部卒業、ヤマト運輸入社。2003年ヤマトホームコンビニエンス取締役事業戦略室長、05年ヤマト運輸執行役員東京支社長、08年ヤマトロジスティクス社長、11年ヤマト運輸社長。15年より現職。
(聞き手=街風隆雄 撮影=門間新弥)