夫婦関係:なぜ「金持ち妻は商家の娘」が多いか

本田氏は億万長者についてのアンケート調査を行ったとき、ある傾向に気づいたと言う。

「お金持ちになるためには、自分を支えてくれるパートナーの存在が大切だ」と考えている人の割合は、年収3000万円以上で約3人に1人。一方、年収1000万円未満の場合は5人に1人。収入が多い人ほど、妻や夫の存在を大切に考えていた。

「家庭は人生の基盤。ここが安定していないとビジネスにも影響が出て、うまくいかなくなるのでしょう」(本田氏)

今回話を聞いたミリオネア3人はパートナーがいて、夫婦仲も円満だ。森平氏は、妻への感謝をこう述べていた。

「私は2度、人生で大きな転機を迎えました。1回目は、父の経営していた会社を辞めて、父から受け継いだ財産をすべて返上したとき。2回目はクロックスの日本法人社長を辞めて、独立したときです。妻に退職を相談したら、『自分の好きなようにしたら』と言って背中を押してくれた。いずれのときもしばらくは貯蓄を切り崩すことになりましたが、それについても何も文句は言われなかった。妻には本当に感謝しています」

じつは3人のミリオネアは、共通点がもう1つある。

「妻の両親は商売人」(森平氏)、「夫はインドネシア出身の華僑で、親は経営者」(マダム・ホー)、「妻は造船会社の社長令嬢」(松田氏)というように、いずれもパートナーが経営者の息子・娘なのだ。しかし、経営者の子供と結婚することがミリオネアの条件だと考えるのは短絡的だ。マダム・ホーは、夫とのなれそめを次のように明かす。

「夫とはアメリカ留学中に知り合いました。じつはほかの人たちからもプロポーズを受けましたが、そのころアジアからアメリカに私費留学しているのはお金持ちの家の子息ばかり。みんな『親が社長だ』『実家が病院を経営している』とアピールしてくるので、うんざりしていました。そんな中で唯一、家業のことを何も話さなかったのが夫でした。私も商家の娘なので経営者の息子とは通じ合える部分があるのですが、親の資産や地位をあてにしているような人とはパートナーとしてうまくやっていける気がしません。夫は経営者の息子でも、親に頼らず自分で道を切り拓くと考えていた。だから私たち夫婦はうまくいったのです」

ビジネスには浮き沈みがあることを肌で理解している点で、パートナーが経営者の子供であるメリットはあるだろう。ただ、価値観が合わなければパートナーとしてやっていけない。そう考えると、必ずしも親の職業を気にする必要はない。

お金の専門家 本田 健(ほんだ・けん)
経営コンサルティング、会計事務所など複数の会社を経営する「お金の専門家」。著作シリーズは累計520万部を突破。主な著書に『ユダヤ人大富豪の教え』『20代にしておきたい17のこと』など。
(村上 敬=構成、文)
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