加えて注目したいのがHbA1c。これは全身に酸素を運ぶヘモグロビンに糖が結合したものだ。血糖値は食事や運動で数値が変化するが、HbA1cは過去1~2カ月の血糖値の状態を反映するので、この数値が6.5%以上であれば、慢性的な高血糖状態と考えられる。
血糖値が高い状態が長期間続くと、全身の血管がダメージを受け続け、様々な合併症を引き起こす原因になる。
「糖尿病そのものよりも、この合併症が恐ろしい。高血糖によって引き起こされる糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症を3大合併症と呼び、なかでも糖尿病網膜症は成人の失明原因の第1位にもなっています。いずれも初期の段階ではほとんど自覚症状がありません」(工藤医師)
さらに健康診断では異常が出にくい“隠れ糖尿病”と呼ばれるものも増えている。一般に健康診断は空腹の状態で受けるが、空腹時でも血糖値が高いのが糖尿病。しかし、空腹時は異常がないのに、食事をとると血糖値が急激に上昇するのが“隠れ糖尿病”。いわば糖尿病予備軍だ。
健康な人なら食事をすると一時的に血糖値が上がってもすぐにインスリンが分泌され、食後30分前後をピークに血糖値は下がる。目安としては、食後2時間経過したときの血糖値が140mg/dlを超える場合は食後高血糖と考えていいだろう。食後高血糖の状態を放置していると、糖尿病に至るケースはかなり高いので注意が必要だ。
今や、成人の5人に1人は、糖尿病を抱えている、もしくは予備軍であるといわれている。
「隠れ糖尿病は、尿糖検査紙を使って家庭でも簡単に検査できるので、トイレに行く回数が増えてきたり、太ってくるなど、体調に異変を感じたら早めにチェックをしましょう。ただし、尿糖反応陽性でも高血糖とは即断できないので注意が必要です」(工藤医師)。