「やっぱり缶詰めにしないと、スイッチが切り替わってしまう。僕としては、24時間、寝ないで考えてもらいたかったくらいです。相当、課題設定を与えました」

時には、ゲームプランや戦術も学生に任せた。学生にアイデアを出させて、中竹監督が整理する。それをリーダーたちが学生にプレゼンする、といった按配である。

例えば、学生が考えついた「ロデオアタック」。どこから誰がボールに走りこんでくるかわからない。波状攻撃を暴れ馬のイメージにダブらせる。「マンイーター」。人食いタックル。激しいタックルから逆襲に転じる。

「じつは今年の戦術は学生が考えたものが相当あります。たぶん、トップリーグでもそんなチームはないでしょ」

組織を強くするため、ミーティングで重要な点は3つ、と中竹監督。

「ミーティングでは考えさせること、伝えるスキルをつけさせること、意見をシェアする力をつけること、が大事です。いわゆるプレゼンテーション能力と、ディスカッションで生み出す能力、シェアリングしてコンセプトを得る能力です。この3つをひたすら回していくのです」

 

強いものが生き残るのではなく変化したものが生き残る

今年のチームの特徴は豊田を主将としたことだった。プレーの能力は文句なしながら、優しさが逆効果となることもあった。そんな4年生を主将におき、「ダイナミックチャレンジ」の象徴とした。チームもまた能力が高くても、メンタルに波があった。案の定、秋の対抗戦では帝京大学と明治大学に敗れた。でも中竹監督は「想定内」としたたかだった。

監督は豊田には「キャプテンらしく振る舞うな」と指示した。「暴言を吐け。暴れろ。チームを乱しまくれ」。そうすれば、チームが爆発するのだ、と。

だから、豊田の言葉を借りると、「チョ~他力本願」でチームを率いた。見方を変えれば、他の選手、つまりフォロワーが自律し、積極的に機能することになる。

実際、試合であれ、練習であれ、チームトークでリーダーシップを発揮しているのは小峰徹也ら他の選手である。しかも、2年生もがリードしようとするときがある。これは組織として極めて稀だろう。