卒業後、英国に3年半、留学する。2001年春、三菱総合研究所に入社し、5年間、スポーツを通した街づくりを手伝い、指導者を育成してきた。06年春、同社を退社し、早稲田ラグビー部監督に就任する。その社会での経験がチームづくりに反映されている。
例えば、スタッフを拡充した。フルタイムが4人で、週末コーチを加えると20人にも膨らんだ。「セルフマネジメントコーチ」を新設する。自分で課題をみつけ、努力する学生になってほしい、との思いからだった。「カウンセリング」を設け、専門家も招いた。
そしてもっとも重視したのが、「コミュニケーション能力」のアップである。ミーティングでは、パソコン技術を駆使しながら、図表やグラフで説明していく。一方通行ではなく、学生の能力を引き出す、いわば課題提示スタイルである。
今シーズンは初めて「ミーティング合宿」なるものも開いた。昨年9月、東京・汐留のホテルに豊田主将ら中心選手を缶詰めにし、2泊3日で徹底して討論させた。
3日間で約20時間。とくに2日目は朝8時から深夜零時まで続けた。上級生だけでなく2年生のリーダー候補も参加させ、FWとバックス、あるいはポジション別、学年別など様々なグループに分け、それぞれに意見を出させたのだった。
中竹監督は自身の人脈を生かし、プロ野球パリーグの楽天創設に関わった小澤隆生氏もミーティングの講師に招いた。チームスローガンの「ダイナミックチャレンジ」の実践者の話を聞かせ、その意義を考えさせもした。
思考の方法論です、と中竹監督は言う。
「自分たちで考えるといっても、考えるスキルを持っていなかったのです。考えて解決することも、僕に言わせれば、要はスキルとテクニック、いわゆる考えるフィットネスが必要なんです。タックルと一緒です。だからスキルを教え込むのです」
なぜ、寮ではなく、ホテルだったのか。