孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。

Q. 合弁事業でトップ同士はどう付き合うべきか

米国ヤフーのジェリー・ヤン、マイクロソフトのビル・ゲイツ、20世紀FOXのルパート・マードック……。孫は「大物たち」とパートナーを組んできた。パートナーとはどんな距離感で付き合うべきか。A案は、何でも話し合える夫婦のような感覚。B案は、是々非々の判断ができる、ドライな間柄。
【A】夫婦のように付き合う【B】ビジネス・ドライな距離感を保つ
(正答率70%)

企業のパートナー戦略はいかにあるべきか。ジョイントベンチャーや合弁会社の設立、あるいは出資など、他企業とパートナーを組む重要性は今後も増していくでしょう。

その際の課題は、誰と組むか、です。条件の厳しい「ナンバーワン」か。あるいは組みやすい相手か。

僕は「勝つための相手」と組みます。相手の条件が厳しくても、その後「1位」に近づけるのであれば組む。条件の厳しい相手はそれなりのポジションを築き、豊富なノウハウもあります。

「結婚、しませんか?」

これは、かつて僕がある事業パートナーを口説くときに言った台詞です。ビジネスの真っ最中に結婚しようなんてと怒る人もいそうですが、僕の真意を知って、受け止めてくれました。

相手が条件の厳しいケースであるほど小手先では通じない。会った直後に感覚でわかり合えて、ビジョンを共有でき、また駆け引きなくストレートなやりとりができるかどうか、が重要です。意気投合して、ともにやっていこう。そんな夫婦のような距離感が必要になると思います。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ。孫氏と個人的な関係も深い。(写真=時事通信フォト)

実際、ビル・ゲイツを含むアメリカのビッグネームとのジョイベンをつくるときは、結果はどうあれ、みな結婚するような感覚を抱いていました。

なぜ、僕はパートナー戦略を重視するのか。それは「足し算をしていてはダメだ」と考えているからです。