孫正義氏がこれまでに経験したタフな場面をケーススタディの形で完全再現。
あなたは正しい判断を下せるだろうか。
Q. 霞が関から天下りの受け入れ要請
退職した高級官僚を役員として遇する「天下り」。通信業界では監督官庁の総務省出身者を中心に、依然として「指定席」が残っている。孫社長は日本テレコムやボーダフォンの買収時、天下り役員を退職させた経験をもつ。A案は、横並び。B案は孤高の道。【A】業界慣行として従う【B】断固拒否
(正答率97%)
霞が関から天下りの受け入れ要請があったときにどうするか。
ここで「官庁とのパイプづくり」や「業界の慣行」を考える人は、もう僕の話を聞いてもらわなくても結構。少なくとも、ソフトバンクには向いていない人です。
世の中の9割以上の会社は、天下りの要請があれば、喜んで受け入れています。大人といわれる会社、大人といわれる経営者ほど、そうなんです。断固拒否するというのは、世の中では非常識な判断だといわれます。しかし、こういうことには非常識で構わないと僕は思う。ソフトバンクはいつまでも非常識でいきたいと思います。
「当社は少なくとも今後100年、関係省庁からの天下り人事を自主的に受け入れないことを宣言します」
かつて記者会見の席で、僕はこう話しました。電波行政を担う総務省からいっさい天下りは受け入れない、と。許認可権限をもつ総務省に、正面から宣戦布告したようなものです。
天下りは癒着を生みます。たとえば、あるライバルの通信会社の株主に、郵政関係の共済会が入っていました。つまり、その通信会社の株が上がれば、省庁職員は儲かる。これは利益相反ではないかと批判しました。
総務省は裁量行政ができる立場です。批判すれば、どこかで官僚に意地悪をされるかもしれない。