給与を伸ばすには3つの方法がある。ひとつは自分が出世することだ。残りの2つは、会社が成長するか、厚遇の会社に移るか。必要なことは大局観をもったキャリアづくりだ。会社頼みでは、必ず行き詰まる。
若林亜紀さんの回答
財政破綻しても平均546万円がもらえる夕張市
公務員は依然として人気の高い職業です。日本のような成熟した社会では、優秀な人材が、経済を動かす民間企業ではなく、官庁に流れてしまうのは、もったいない。それでも、たしかに待遇だけで判断すれば、公務員はおいしい仕事です。
国や地方の財政は逼迫しており、公務員の給与も、それにあわせて引き下げられることがあります。12年4月からは、東日本大震災の復興財源を捻出する目的で、国家公務員の給与は平均7.8%減額されました(※ただし2年間、14年3月31日までの時限措置)。震災で多くの企業がダメージを受けましたが、役所にはどこ吹く風です。
リストラにもあいません。公務員の待遇で最悪のケースは、財政破綻した北海道の夕張市です。夕張市では、給与が3割減、退職金が4年間で4分の1という再建策のため、半数以上の職員が退職しました。それでも厳しくいえば、財政破綻しても手厚い退職金が支給されたのです。在職者の給与は全国最低水準ですが、職員の退職に歯止めをかけるという理由で、2014年4月から平均で約4.7%の給与増額が行われました。この結果、平均モデル(44歳・係長)の年収は約546万円です。
将来的には国の財政が破綻することも考えられます。失業が多発すると思われがちですが、財政の破綻と経済の破綻は異なります。08年に財政破綻したアイスランドでは、株価は100分の1に、為替は2分の1になりました。しかしその結果、輸出企業が収益を回復し、失業率は低下したのです。財政破綻は、既得権益にメスを振るい、必要なダウンサイジングを行う契機になる。公務員は、民間企業よりも大きな影響を受けますが、それでも身分は保障されるはずです。事実、夕張市でも退職は強制されませんでした。民間に比べて格段に甘いと言わざるをえませんが、それが現状です。
1965年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。日本労働研究機構に在職中の2001年、天下りや公金浪費の実態を週刊誌に内部告発してジャーナリストに転じる。著書に『体験ルポ 国会議員に立候補する』など。