講演やスピーチでは味方を見つける
あがり症の人が最も苦手とするのが、結婚式のスピーチや講演、大きな会議での発言ではないでしょうか。
大人数を相手に、しかも自分で話を切り出し、展開しなければならないときでも、考え方は商談と同じです。ポイントは「会話に持ち込む」「伝えたいことだけは漏らさず伝える」の2点です。
スピーチ形式のような話し手と聞き手という関係でも、会話はできます。聞き手の中には、あなたの話に大きくうなずいてくれる人がいます。その人に向かって語りかければいいのです。スピーチ形式では、聞き手の反応が見えにくいため、不安があがりにつながりやすいのですが、うなずいてくれる「味方」を見つけられれば、勇気100倍です。
私は講演をするとき、最初に自分があがり症だということをカミングアウトしています。そうしておけば、ちょっと言葉を噛んだり、しどろもどろになったりしたとしても、緊張することなく話せます。すると、話し方よりも「自分が伝えたいこと」に集中できて、講演の目的を達成しやすくなるのです。
あがり症の人はとかく「あがり症を克服すればすべてうまくいく」と考えがちですが、本気で克服しようとしたら、どれだけ時間がかかるでしょう。むしろ私のように、自分の体質だと割り切ってうまく付き合ったほうが得策です。
目的はあがらないことではなく、仕事の成果をあげることです。「あがり症だけど仕事ができる人」、そんな人を目指してもいいと思いますよ。
渡瀬 謙 サイレントセールストレーナー
ピクトワークス代表取締役。1962年生まれ。明治大学商学部卒。精密機器メーカーを経て、リクルートに転職。喋らない営業で、入社10カ月には営業達成率全国トップに。94年に独立。内向型営業マンの育成を専門に、セミナーや講演などを行う。最新刊に『相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術』。
ピクトワークス代表取締役。1962年生まれ。明治大学商学部卒。精密機器メーカーを経て、リクルートに転職。喋らない営業で、入社10カ月には営業達成率全国トップに。94年に独立。内向型営業マンの育成を専門に、セミナーや講演などを行う。最新刊に『相手の「買う!」を自然に引き出す4ステップ商談術』。
(菊池 浩=構成)