目というのは、口ほどに物を言います。「アイコンタクト」という言葉があるくらいで、目を見れば「何か話したいことがあるのだな」とわかったり、「今、怒っているな」と相手の胸の内を察したりすることができるのではないでしょうか。そのため、目の動きを意識することは、コミュニケーションをとるうえで重要なポイントなのです。

そもそも、目の動きが脳の動きと連動していることは、脳生理学で明らかになっています。意識しなければ、生理的な反射として自然と動いてしまうものなのです。たとえば、右利きの場合、過去の記憶を手繰り寄せようとして、脳が何かを「思い出す」作業をしている場合、視線は左に動きます。逆に、何かをクリエイティブに考えて、脳が「創造する」作業をしている場合、視線は右に動きます。ただし、脳の機能が逆になる左利きの人は、視線の動きも真逆になります。

面接や商談、プレゼンなど、緊張する場面ではどうしても視線が泳いでしまい、一点に定まらないという人もいるでしょう。これは脳が活発に動いている証拠なのですが、視線が右へ左へと泳いでいると、焦って考えている状況をさらしているようなもの。落ち着きのない印象を与えないためにも、人と話すときはできるだけ視線を動かさないよう努めたほうがいいでしょう。さらに緊張状態が高まると、人は上を向いて視線を外そうとします。しかし、視線を上に外すとどうしても顎が上がり、「うん?」と疑問を感じているように見えるのです。また、視線を下に落として外す人もいますが、上下に動く目線は落ち着きなく自信なさげに見えるので、ビジネスの場では控えたほうがいいでしょう。