仕事相手との雑談はどうすればいいのか。元リクルート全国トップ営業の渡瀬謙さんは「私が大手銀行の新人研修で『雑談』について講義したときには、『年配の人と対等に話をしようとしない』『教えてもらう雑談を心がける』という2つだけを伝えた」という――。

※本稿は、渡瀬謙『一生使える「雑談」の技術』(大和出版)の一部を再編集したものです。

銀行看板
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

「リアクション」が薄いと話はふくらまない

相手にたくさんしゃべってもらうためには、上手な質問をするだけでは足りません。

「あなたの話をもっと聞かせてください」
「その話にものすごく興味がありますよ」

ということを何らかの方法で伝えることで、相手はもっと話したいと思うようになります。

逆に、すごくいい質問をして相手もそれに喜んで答えてくれたのにもかかわらず、こちらの反応が薄いせいで話がふくらまないということもよくあります。

つまりは「リアクション」です。

もちろん、大げさに反応すればいいというものでもありません。

【相手】「髪型を変えたんだけど、どう思う?」
【自分】「超かわいい!」
【相手】「色もちょっと変えてみたんだ」
【自分】「色もかわいい!」

他にも、何でもかんでも「ヤバイ」を連発するなど、テンションは高いのに同じ言葉ばかりのリアクションでは、「この人、本当に人の話を聞いているの?」と疑いたくなります(「とりあえずそう言っておけばいい」と思っている人もいるのでは?)。

やはり重要なのは、相手の話に応じたリアクションです。

ただし、コロナ禍以降、マスクをしての会話が増えてきました。

今後もまだマスクのままでの会話もあるはずです。

口元が隠れているというのは、リアクションに大きく影響してきます。

そこで、言葉や表情だけに頼らないリアクション術をご紹介することにしましょう。

感情を表現するには「前後の動き」が有効

おススメするのは、2パターンです。

まず、カラダを前に乗り出す動作。

これは、リアルに会っているときでもオンラインの画面越しでも使えます。

これだけで、「あなたの話に興味があるから、もっと聞きたい」という気持ちを表現できます。

【相手】「じつは意外な理由があったんです!」

そこでカラダを前に乗り出すだけ。

そのうえで、「それで?」「どうしたの?」などといった言葉をあわせれば完璧です。

【相手】「それからこういうこともあったんだよ」

などと、聞いてもいないことまでしゃべってくれたりします。

もう1つは、カラダを後ろにそらす動作。

これは、「驚きの気持ち」を表現します。

自分が話したことに対して驚いてもらえるのも嬉しいものです。

【相手】「じつは、これだけ機能が付いていて、この価格です!」

そこでカラダを後ろにそらしながら、「それは安いですね!」「本当ですか?」「ウソでしょ!」などの言葉と一緒に使うと効果的です。

このように気持ちを動作で表現すると、相手はさらに気持ちよく話せるようになります。

とくにオンラインでマスクをしたままの会話の場合は、「前後の動き」を入れることで気持ちが相手に伝わりやすくなります。

私自身、最近はほぼオンラインでコンサルティングの仕事を行っているので、この画面の中でいかに感情を表現するかを考えたときに、カラダの動きが有効なことに気づきました。

また、相手にたくさんしゃべってもらうという意味では、雑談だけでなく、取材やインタビューなどでも使えますし、営業での商談でも使えます。

「ちょっと自分はリアクションが薄いタイプだな」と自覚していたら、ぜひこれを意識して使ってみてください。