見栄を張らないほうが信頼される

私自身、かつては社長のところへ営業に行っては、経営の苦労話をよく聞いていました。

社長室の本棚に置いてある本の内容についても、いろいろと質問していました。

思えば、当時から自分でビジネスを始めたいと思っていたのかもしれません。営業の仕事をしながら自分の将来のための勉強もできたので、楽しさを感じていました。

すると、そのような私の態度を気に入ってもらえて、営業の成果にもつながるようになったのです。

私の体験からも言えることは、相手が自分より年配者なら、その経験を教えてもらう雑談を心がけるといいということ。

たとえば趣味のことを聞いて、自分もそのジャンルについて詳しければ共通の話題として会話を進めればいいし、自分が知らないことなら「教えてもらう雑談」にすればいいのです。

また、相手が年下だったとしても、自分が知らない分野について詳しいとわかったら、それも「教えてもらう雑談」にしましょう。

教えてもらうスタンスで話すようにすれば、その後の仕事の会話にも好影響が出ることは間違いありません。

シニア管理職と若いビジネスマン
写真=iStock.com/AscentXmedia
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ほどよいタイミングで切り上げるテクニック

雑談で話が弾むのはいいことです。

しかも、相手が気持ちよく話してくれているなら、なおさらです。

でも、その雑談をずっと続けていいのかというと、必ずしもそうではありませんよね。

お互いに「そろそろこの話は終わりにしたいな」と思っているようなときは、長すぎる雑談に困ってしまうという現象が起こります。

「このまま続けていいのだろうか。でも、せっかく話してもらっているのに途中で切り上げにくいな」

このように「できれば相手から切り出してほしい」と思っているようなときに相手任せにしてしまうと、自分でその場をコントロールできなくなります。

ですから、とくに仕事で会っている場合には、ほどよいタイミングで切り上げる必要があるのです。

私がリクルートにいたときは、まだポケベルを使っている時代でした。

話が長いことがわかっているお客さまのところへ行ったときには、社内の事務の人に「○時に鳴らして」とお願いしておきます。

すると話の最中にベルが鳴って、それをチラッと見ることで、相手に様子が伝わります。

【お客さま】「急ぎなら電話していいよ」
【私】「ありがとうございます。では、ちょっと電話をしてきます」

そして実際に話をして(急ぎの用事があるふりをして)、雑談を強制的に中断するということをやっていました。

いまならスマホでも同じことができますね。