しかし、このような施策を打つことが財政面で許されないのなら、基本的な解決方法は、移民政策です。といっても日本の場合、それは恐らく選択的な移民政策です。たとえば米国では、100万ドル以上を投資し10人以上を雇用する人なら永住権が申請でき、実際にその人材やお金を活用しています。米国は移民に対してオープンですが、あくまでもそれは必要とする人材に対してオープンであるということなのです。もし日本がある分野の科学者を必要としているのなら、その人たちが家族を連れて日本に移住しやすいような環境を整えてあげればいいのです。建設現場での需要が高まっているので人手がもっと必要なのであれば、たとえばギリシャやイタリアやトルコなどの国々から限定的に人を募り、彼らが日本で生活し、生計を立てていけるようにすればよいのです。

【神田】マーケティングという学問は今後、どの方向に向かって発展していくと思いますか?

【コトラー】マーケティングにおいては近年、神経科学がより広く採用されるようになりました。また、マーケティング戦略の立案者は、ソーシャルメディアやデジタルメディアを以前より積極的に活用するようになっています。彼らは顧客の本音や要求の核心を引き出すために、ビッグデータを集積し、予測分析やその他のツールを使っているのです。とくに今後、携帯電話は、マーケティングのプロセスや競争が繰り広げられる場において主要なツールになるでしょう。

Philip Kotler(フィリップ・コトラー)
マーケティングの世界的権威。ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院インターナショナル・マーケティングのS.C.ジョンソン&サン・ディスティンギッシュド・プロフェッサー。シカゴ大学で経済学修士号、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得後、ハーバード大学で数学、シカゴ大学では行動科学を研究。著書に『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』(丸善出版)などがある。

神田昌典(かんだ・まさのり)
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格。4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表を経て、1988年、経営コンサルタントとして独立。著書に『全脳思考』(ダイヤモンド社)、『あなたの会社が90日で儲かる!』(フォレスト出版)などがある。
(プレジデント編集部=構成 原賀真紀子=翻訳 シンヤケイタ=撮影)
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