宗保さんはかねてより生家を建て替えて、二世帯住宅にしたいと考えていたが、費用の問題もあり、当分は先のことだと考えていたという。
「子どもの成長や自己資金のことを考え、40歳ぐらいまでに建て替えられればと考えていました。そこまで具体的なイメージはなく、勉強のつもりで自宅近くの住宅展示場を訪ねたのですが、そこでイメージ通りの提案を受けました。1階を店舗にして、部屋の一部を賃貸にする。工務店やゼネコンではなく、大手のハウスメーカーなので安心感もあった。自己資金がゼロでも建てられるという話で半信半疑でしたが、あれよあれよという間に家が建っていました」(宗保さん)
諸費用は1億円を超えたが、全額ローンで賄えた。土地は自己所有、賃貸併用であることが決め手となった。賃貸収入を加えれば、月々の返済額は宗保さん夫婦が近くに住んでいたときの家賃とほぼ変わらない。
ただし賃貸併設では将来的な空室リスクは考えなくてはいけない。
「万が一の時は、私が働きに出ればいいと思っています」(千尋さん)
「私の女房も飲食店経営が長かった。まあ、何かあれば、家族みんなで働けばいいんですよ」(洋之助さん)
この5階建て住宅は、江戸っ子の心意気が脈打つ家族の住まい方だ。
(小倉和徳=撮影)