どう撤退するか次はどこへ行くか
5. メード・イン・ジャパンと取り換えてほしい
円安と政府の観光推進施策が功を奏したのか、今、銀座へ行くと中国人で溢れかえっているのがわかる。中国へのお土産として、化粧品や炊飯器が飛ぶように売れていることは、読者も知っているだろう。しかし、最近変な動きがあるという。それは、ソニーやキヤノンなどの日本メーカーが中国で現地生産(メード・イン・チャイナ)したものを日本へ持ってきて、日本で生産されたもの(メード・イン・ジャパン)と交換してほしいと願い出るお客があとを絶たないというのだ。手にしている製品は、正真正銘のメーカー純正品で、まったく同じ規格の同じものにもかかわらず、ウラ蓋をひっくり返すと「メード・イン・チャイナ」と書かれてあるのがどうにも信用ならないという。
6. 中国から撤退すると莫大な罰金が取られる
今まであげてきたように、中国で日本の会社は散々な目にあってきている。これ以外にも、いろいろある。アジアナンバーワンになるまでに急成長したヤオハンも、中国に進出して倒産してしまった。中国進出した日本の会社の多くは、さっさと撤退したいのが本音であろう。しかし、ここにも大きな落とし穴があった。中国から完全に撤退すると莫大な違約金を取られるのだ。これがネックとなって、人件費が高騰し生産拠点としての魅力が乏しい中国から日本企業は撤退できなくなってしまっている。さらには、円安基調が続くとあっては泣きっ面にハチだろう。
中国進出を煽ってきたマスコミや識者には、自分の発言への責任感などまるでないのだろうが、少しは反省したほうがいい。これからの日本企業は、いかに中国から撤退するかについての戦略を練ることになるだろう。私は、日本企業の希望は「ベトナムにあり」と考えているが、それはまた違う機会に述べることとしよう。