欧米勢の大型事業再編の動きが加速!?
事業規模で断トツの世界トップを併走する中国の2大国有鉄道車両メーカー、中国南車集団と中国北車集団が国家主導の形で合併に向け動き出した。先進国、新興国を問わず、両社はこれまで別個に受注活動を展開し、競合するケースも多々あった海外事業について、合併による相乗効果を引き出し、国際競争力強化につなげる狙いだ。鉄道をはじめとしたインフラ輸出を加速する習近平指導部による国家戦略の牽引役に位置づける。
一方で、世界最強集団の誕生は、日本が成長戦略に位置づけたインフラ輸出に大きく立ちはだかる存在になるのは必至だ。加えて、既に火蓋が切られた欧米の国際インフラ企業の大型事業再編に一段と弾みがつく可能性もある。
両社の合併は中国国務院(政府)の指示で最終調整に入ったとされ、香港、上海の証券取引所に株式を上場している事業部門の取引は10月27日に停止された。両社は合併協議を認めているものの、合併の時期や事業形態など詳細は未定で、中国国際金融(CICC)が草案を練っているとみられる。
中国はこの10年間、国内で世界最大の高速鉄道網整備を急ピッチで推し進め、旧鉄道省の事業を受け継いだ両社が急成長する原動力となった。事業規模は直近でそれぞれ年間1兆7000億円近くに達し、世界の鉄道車両・システム市場で「ビッグ3」の地位を不動にしてきた加ボンバルディア、独シーメンス、仏アルストムのそれぞれの鉄道車両事業の2倍と凌駕する。
その中国2強の合併で誕生する巨大メーカーは、2011年の高速鉄道事故をきっかけに本格化した海外市場をターゲットに据えるだけに、ビッグスリー、さらに海外事業を加速する日立製作所や川崎重工業などの日本勢にとって「すぐに影響はない」(中村豊明・日立副社長)とはいえ、脅威の存在以外何物でもない。