重厚長大オールドルーキー登場!

経済同友会の次期代表幹事に、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長が内定した。長谷川閑史代表幹事(武田薬品工業会長)の後任として、来年4月27日の通常総会で正式に就任する。小林氏は現在、同友会の副代表幹事を務め、代表幹事の最有力候補の一人に挙がっていただけに、順当な人事に違いない。

しかし、旧財閥の三菱系、しかも化学という重厚長大型のオールドスクールを出身母体とし、年齢は長谷川氏と同じ68歳と若返りに逆行する。まして、化学業界は足元で経済産業省に過剰生産設備の統廃合を迫られ、官製主導で構造改革が進む局面にある。

その意味で、「旧財閥」「旧勢力」「老齢」という、さながら旧弊の「三つ揃え」を身にまとった代表幹事の誕生は、政策提言などに「尖った」存在感があった同友会の伝統、カラーとの違和感は拭えないだろう。さらに、小林氏の代表幹事就任によって、経団連の榊原定征会長(東レ会長)、日本商工会議所の三村明夫会頭(新日本住金相談役名誉会長)に加え、民間経済をリードする経済三団体のトップすべてを、かつて構造不況に見舞われた素材産業出身者が占めることになり、日本経済再興に向け産業の新陳代謝が求められる時代にもそぐわない。

この点は、またしても日本が海外から「不思議な国」とのレッテルを貼られかねず、「同友会、お前もか」と落胆の声が上がって不思議はない。確かに、小林氏の経営手腕は高く評価され、経営面の「変革力」も申し分ない。政府の経済財政諮問会議の民間議員を今夏まで務め、9月からは産業競争力会議の民間議員に移るなど政府・政権とのパイプも太く、同友会の提言が政策に反映できるとの期待も強い。

この点で見れば、小林氏のバックボーンに対するマイナスイメージを跳ね返せるし、同友会の会員資格が、企業単位な経団連、日商と異なり、経営者個人であることから人物本位で起用されたとの解釈も成り立つ。