3. 自己中になる
仕事は「自分のため」にやる

自分勝手で自己中心的な「自己中」は、一般には悪いことだとされている。しかし力を抜いて生きるには、自己中になることが欠かせないと内藤氏は主張する。

「自己中というのは、言い方を変えれば自分を一番大切にするということですから、決して悪いことばかりじゃないんですよ」

自己中とは逆の、他者中心思考の人は、他人がどう思うかを価値観の中心に置いているので、自分の感情や都合が後まわしになる。だから辛いのだ。

「仕事は感情ですよ。好き嫌いで判断していいんです。いやな仕事はしなくていい」
と内藤氏は断言する。

「自分がやりたい仕事は熱心にやるのでいい結果になるけれど、やりたくない仕事をイヤイヤやったところで、出来映えはよくないに決まっている。第一、隠しても不満が顔に出てしまう。それなら最初から断ったほうがお互いのためです」

西多氏も自分から主体的に仕事をすることの重要性を説く。

「仕事は自分のためにやるもの。たとえ命じられてやる仕事でも、自分に引き寄せて考えることが大事です。他人のためにやる仕事では、やはり重要度が下がりますから」

さらに西多氏は「自分の自由になる部分は、自分勝手に進めたほうがいい」と言う。

「経営の合理化が進んで、昔より一人当たりの仕事量が増えている今、言われたことをすべて律義にやっていたら大変なことになりますよ。多少は自分の裁量で省略したり、間引いたりして、うまく回していくことを心がけないと」

しかし真面目な人は「勝手にそんなことをして、上司に何と言って報告すればいいのか」と悩んでしまうかもしれない。だが、「すべての仕事についてホウレンソウをする必要はありません」と西多氏は言う。もちろん報告義務があるのを怠るのはまずいが、すべてがそういう仕事ばかりではないはず。上司にしても、「おまえ、勝手にやっといてくれよ」という部分はある。

誰が考えても、やってもやらなくても大差ない優先順位の低い仕事は自分の一存で省略し、いちいち上司には報告しない。それくらいの「自己中」は許されて当然なのである。