2. 相手の期待を削ぐ
期待値が上がると苦しい

真面目な人は周囲から期待されると、それを裏切ることはできないと思ってしまう。だから苦しくても無理を重ねてしまうのだ。

そこで内藤氏が伝授するのが、「最初から期待させない」というテクニックである。

「まわりからの期待値が上がってしまうと、それに応えなければならないという『ねばならぬ思考』が起こります。これは苦しいですよ。そうなる前に『俺に期待してもムダだよ』と宣言して、相手の期待を削いでおく。これだけですごく楽になれます」

たとえば東大出の肩書を持っていると、周囲は勝手に期待をかけてくる。そういう人ほど、プレッシャーにつぶされないためにも、周囲の期待をコントロールする必要がある。

「東大は出ましたが、三浪してます。掃きだめと鶴の、掃きだめのほうですから、絶対に期待しないでください」などと言っておけば、周囲も期待しなくなるため、肩の力を抜いて仕事ができるというわけだ。しかも期待値を下げておいたところで成功すれば、かえって評価が高くなる。

「でもそういうときこそ、今回の成功はあくまでも偶然であることを強調すること。自分の評価が上がりすぎないように調整しておくのです」(内藤氏)

しかし「本当は実力があるのに、ダメな奴と思われるのは我慢できない」と思う人もいるだろう。このような「他人から常に高評価を受けたい人は要注意」と西多氏は警告する。他人に評価されることをモチベーションにしている人は、結局、他人の価値基準で自分を評価しているからだ。それが続くと、徐々に自分を見失い、他人に使われているような状態になってしまう。その結果、自己効力感を失いやすい。周囲の期待にコントロールされるのではなく、逆に自分で周囲の期待をコントロールすることが大事なのである。