地球は人類が生存する基盤であり、食料や水のみならず貴重な居住空間を与えてくれる。その構造と歴史を教えるのが高校理科の科目「地学」である。ところが現在、履修する高校生は全体の1割以下でしかない。こうした状況で本書は、地学を学ばず社会に出てしまったビジネスパーソンにとって優れた啓発書である。

著者は地球物理学を専門とする東大名誉教授で、火山噴火予知連絡会長を歴任するなど実社会との接点も多く持つ。さらに専門書から一般書まで、論旨が明快で歯切れのいい文章を書く力において、著者の右に出る科学者はそう多くはいない。

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