今年で90歳になる英国人社会学者ロナルド・ドーアの回想記。

ドーア教授は教育問題、労働問題が専門だが、戦後の日本研究の草分けでもある。戦後の「日本的経営」を高く評価しており、それがグローバリズムによって崩壊しつつあることを喝破した『働くということ』(中公新書)は10年前の刊行ながら、今でも読むに値する名著だ。その後も活発に著作を発表している。

回想記である本書『幻滅』には、当然ながらドーア教授の知的遍歴や交友が描かれている。同時に、本書は戦後日本社会の変容の年代記ともなっている。長年の労働党支持者のドーア教授は、当然ながら社会党が強く、保革伯仲の感のあった1980年頃までの日本を好ましく見ている。それは同時に日本経済が高度成長を遂げている時代でもあり、ドーア教授から見ても日本の知識人が輝いていた時代だった。丸山眞男、市井三郎、鶴見俊輔など、懐かしい名前が続々登場する。

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