第一次安倍政権で経済財政諮問会議委員も務めた日本を代表する経済学者が、今後の日本にとって必要な経済政策を論じたのが本書である。その主張は、「はじめに」で書かれている以下の一節に集約されるだろう。「2010年代の、日本経済の最大のリスク要因は政府債務である。(略)本当に手遅れにならないうちに、財政政策の舵を切ることが大切だ」。

財政再建の重要性を訴える書物や提言は少なくない。その中で本書が独特なのは、どちらかといえば国際金融の分野などを中心に幅広く日本の経済政策のあり方を論じてきた著者が、様々な政策の中で何が必要かを検討した結果を示している点だ。はじめに財政問題ありきの議論ではない。だから冒頭で「経済政策を論じた本」と紹介したのである。

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