大手は根こそぎさらっていく……

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ガイダンスは通年化の傾向

【IT】そう。学生は百人百様なのに、カテゴライズしてあなたの場所はここ、君はこことデジタルに決める風潮があるよね。会社説明会の申し込みでも最初に有名大学の学生にエントリーさせて、その後に一般学生に向けてオープンする学歴フィルターはその典型だよ。そうやって第1志望の大手企業は有名大学の優秀層を根こそぎさらっていく。

【建設】それに手を貸しているのが就活サイトだ。企業にとっては世間に対する告知と母集団形成のためには必要悪の存在だが、とくにリクナビの数十社まとめてエントリーできる「一括エントリー」システムはやりすぎだ。あまりに簡単にエントリーできるので、学生や企業も楽だが、本当はどこに就職したいのかを突き詰めて考える選択の思考を狭めている。

【食品】本当は就活サイトをやめたい。採用人数がそれほど多くないので就活サイトに頼らなくても、自社のホームページだけで十分に母集団を形成できる。ただ、エントリー数が毎年一定以上あるということが採用担当者の1つの評価にもつながるので無視できない。

──多くの学生と面接して、14年の学生の質はどうでしたか。

【金融】今に始まったことじゃないが、親離れしていない学生が多いことかな。学生と面接し、内定を出すけど、うちに入る気はあるの、と聞くと「親に相談しないとわかりません」と言う学生が少なくない。そこまで言うかと思ったけど、しかたがないので内定を出した学生たちに親も呼んでいいということで食事会を開くことにした。驚いたことに母親のほとんどがやってきた。

【食品】なかには常軌を逸しているとしか思えない母親もいるよ。最近は会社説明会についてくる親が増えているけど、ある母親は書類選考で落とした息子のことで電話をかけてきたんだ。そして「うちの主人は東京大学を出ているのに、うちの息子はなぜ落ちたんですか」と言うんだ(笑)。唖然としたね。

【IT】就活にも口を出すモンスターマザーみたいな人は実際にいるよ。企業側も割り切るしかなく、親に嫌われないように気を使っている。せっかく内定を出しても親から文句を言われないように、お中元、お歳暮の時期に内定者の親に手書きの手紙を添えて「虎屋の羊羹」を贈っている。

【食品】それはうちもやったことがある。2年前に内定を出した学生の親に手紙を添えてメロンを贈ったことがある。無事に入社してくれたのはよいが、職場の評判もよくなく期待はずれの社員が多かったので、翌年からはメロンを贈るのは廃止した(笑)。ただ、我々の時代は大学の入学式や卒業式に親が出席するのが極めて珍しかったが、今は当たり前の時代になっている。