予測1●今後も高給が続く!?
キーワードは「グローバル」「新事業」「規制産業」
現在の業種別平均年収ランキングの上位には、総合商社やテレビ・放送、損害保険、ビール、携帯電話といった業種の大企業が並ぶ。
それらの企業の株価を眺めると、アベノミクス相場によってある程度の上昇はあったものの、この10年で3倍、4倍と株価を上昇させた企業はほぼ見当たらない。
株価が表すのはその企業の成長性であり、将来への期待である。その意味では、成長していないはずの企業が現在は高賃金になっているという状況なのだ。
今後6年では、年収ランキング上位の企業の顔ぶれは大きくは変わらないだろう。とはいえ、国も企業も現状維持を続けていると、長期的には衰退に向かうのが歴史の必然だ。未来の成長戦略を描けなければ、現在は安泰の大企業も10年、20年という時間のなかで必ず衰退する。
大企業の場合、成長戦略を描けている企業――つまり利益を出し続け、給与ベースが下がらない――のポイントは、2つあると私は考える。1つはグローバル展開、もう1つはアントレプレナーシップ(起業家精神)である。
大企業、とりわけ製造業についていえば国内市場は成熟化しており、アジアを中心にしたグローバル展開の重要性が増していく。
最近では、サントリーホールディングスが「ジムビーム」などの世界的ブランドを持つ蒸留酒メーカー、米ビーム社を160億ドルで買収すると発表したのが記憶に新しい。この思い切った巨額買収は、業種を問わずほかの大企業を強く刺激したであろう。
こうしたM&Aは世界における日本企業のプレゼンスも高める。いま、世界では日本の大企業はNATOと揶揄されている。「No Action, Talking Only(言うだけで行動しない)」というのだ。これでは世界のグローバル企業と互角に戦えない。