「取材はお断りします。言い訳はいたしません」

このように返答してきたのは、ワースト1位のトスネットだ。交通誘導警備を主力とする同社の平均年収は235万円。その理由を聞く取材への返答が冒頭だ。やはりトスネットは薄給で従業員を雇うひどい企業、となるのだろうか。「必ずしもそうとは限りません」と語るのは、公認会計士のM.H.さんだ。

[理由1]業種特性

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平均年収ワースト20社

「警備業はもともと給与水準が高い業種ではありません。それにトスネットは本社が仙台にあり、物価水準も都心より低い。さらに、おそらく本来ならアルバイトや派遣社員として雇うような現場の方も一部正社員として扱い、社会保障などを整えてあげているのではないでしょうか」

給与が安い企業を見ていくと、大きく4つの理由があるという。それは、(1)もともと給与水準の低い業種、(2)通常は非正規社員として雇うところを正社員扱いにしている、(3)物価水準の低い地方に本社や営業拠点がある、(4)従業員の大半が若い女性、といった類型だ。

「1位のトスネットは、(1)から(3)が当てはまります。この事情を鑑みると、必ずしも従業員を搾取しているとはいえないでしょう」

この観点で見ていくと、同様のパターンはほかにも多く見受けられる。