口コミで人気の輪が広がった
おいしさと健康美で親しまれている「森永アロエヨーグルト」が、あす12月10日に満20歳を迎える。「森永アロエヨーグルト」は1994年12月10日、日本初のアロエ入りヨーグルトとして誕生。発売2年目からは、フルーツヨーグルト市場で19年連続売上No.1を続け、シリーズでの累計販売個数は53億個を超えたという。この数字は商品を横一列に並べると、地球を9.5周、直線距離で38万km余りに達する。
とはいえ、それまでにはなかったヨーグルトと民間療法で傷の手当や胃腸薬として使われていたアロエというユニークな組み合わせ。このアイデアはどこから生まれたのか……。森永乳業リテール事業部ヨーグルトマーケティンググループ長の齋藤千文さんが、開発当時の様子を次のように話す。
「1994年頃、ナタデココのブームが下火になり、ヨーグルトのマーケティング担当、研究所開発チームが『それに代わる次のブームになりそうな食材はないか?』と探していました。すると、欧米で大ぶりなアロエベラの葉肉をシロップ漬けにして食べていることがわかったのです。そこで、ヨーグルトの健康イメージとアロエの持つ素肌や身体への効能をミックスして、まったく新しい美容・健康訴求型商品開発に取り組みました」
商品化に当たっては、研究所とマーケティング担当で何度も試作と試食を重ね、無味無臭の葉肉の味付けには“トロピカルフルーツ”の風味を取り入れた。ヨーグルト自体もアロエの独特な食感が十分に堪能できるさわやかな風味のクリーミーなものにした。その結果、それまでにないアロエ葉肉のぷるっとした食感とヨーグルトがベストマッチしたこれまでにない美味しさに仕上がったのである。
ただ、発売当初、特に宣伝広告も行わなかったため、出足はあまり芳しくなかった。またアロエの健康感を出すために採用したグリーンのパッケージも不評だった。というのも、キダチアロエから連想される「苦そう」とか「食べられるの?」といった先入観が消費者の購買行動にブレーキをかけていたからだ。ところが、若い女性や主婦の口コミからアロエとヨーグルトの初めての組み合わせが実現した美味しさが話題となり、人気がいっきに広がり、翌年4月には1日10万個の販売を達成した。97年には初めてCMを流し、ロングセラーへの道を歩みはじめる。