優秀なのは学歴イマイチでも大手で活躍する人
シリコンバレーでは、バブリーな雰囲気の一方、危機感を常に抱えています。ITバブル崩壊のときは、ヒューレット・パッカードが世界で4万5000人もレイオフしました。カリフォルニア全域でみても、テクノロジー関係に従事していた人のうち、約半分が失業という惨憺たる有り様でした。
その恐怖心がいまでもある、というわけではないでしょうが、自分の能力をどんどんアップデートしないと、世間で重宝されなくなったら終わり、という空気があります。なので、働く職場を選ぶときに、常に最先端の技術や製品に触れられる仕事であることを優先するエンジニアは非常に多いですね。
企業が優秀なエンジニアを採用するためには、大きく3つのことが必要です。将来性が感じられる魅力的な事業内容であること、エンジニアの専門性を活かし、さらに新しい技術を学べるような製品を開発していること、最後に冒頭に言ったような高給与、高待遇であること。この3つがそろっていないと、なかなか採用できないですね。
でも、仮に採用しても、在籍期間は3年程度ということが多い。それで元がとれるのかと思うかもしれませんが、シリコンバレーでは一般に、18カ月いてくれたら元は十分とれる、といわれています。6カ月だと赤字、12カ月だとトントン。2年もいると、「根気のある人」という評価になります。
特に若い人だと、最新のモバイル機器をどう使うのかなど、いてくれるだけで開発のヒントになることが多い。たとえ短い期間でも、在籍してくれることのメリットは大きいんです。
そんなシリコンバレーですが、実はけっこう学歴社会なんです。新卒で就職するためにはやっぱり一流大学卒でないと難しい。一流というのは、ハーバード大などのアイビーリーグクラス。最低でもクリアしてほしいのは、カリフォルニア大学クラスかな。日本でいうとMARCHぐらいのレベルでしょうか。でも、やっぱりアイビーリーグクラスがいいという人は結構います。
学歴がないと、最初の仕事を始めるためのスクリーニングを通れないんです。逆にいうと、キャリアをスタートさせられれば、その後は、学歴は関係ありません。そこでの実績や、周囲の評価が高ければ、人の紹介でいろんな会社へ行けるようになります。