シリコンバレーでは、人を採用する際は必ずリファレンス・チェックを行います。求職する側が、これまで一緒に働いていた人たちの連絡先を、数名分応募先の会社に提示し、会社がその人たちに連絡して、求職者本人についての評価を聞く、というものです。

本人が伝えてきた連絡先なんだから、その人に都合の悪いことを話すはずない、と思うかもしれませんが、さにあらず。人間そうそう嘘はつけないもので、直接聞くとその人がどんな人柄で、どれくらい能力があるか、わかるものなんです。だから、上司や同僚の評価はすごく大事なんですね。

ベンチャーで働いたり、起業した経験があったりすることも強みになります。指示がなくても自分で考えて動くことができ、目まぐるしく変わる技術革新にもついてこられるスピード感を持つ人だと評価されるんです。

ちなみに、私が履歴書を見て「この人は優秀だろうな」と感じるのは、学歴はそうでもないのに、グーグルやアップルなどの大企業、注目されているベンチャーなどで働いた経歴がある人ですね。それだけ周囲から能力が評価されている、ということだからです。

あと、シリコンバレーの企業は大体役職が同じなんです。肩書のないヒラ社員から始まって、マネジャー、ディレクター、シニアディレクター、バイスプレジデント、シニアバイスプレジデント、といった具合に上がっていきます。日本の役職でいうと、ディレクターが課長、バイスプレジデントが部長ぐらいでしょうか。これは人事システムをつくっている会社が複数の企業を顧客にしているので、似通ったものになりやすいんですね。

でもそのおかげで、会社を渡り歩いていても、一つの昇進システムを上っていくような形になる。シリコンバレー自体が一つの会社、というような形態になっているんです。