「ディズニーは永遠に未完成」の意味
では、企業は顧客が飽きる様子を眺めているしかないのでしょうか。もちろんそんなことはありません。ここでご紹介したいのは、ウォルト・ディズニーの言葉です。1955年、カリフォルニア州アナハイムに世界初のディズニーランドがオープンしたとき、ウォルトは次のように語りました。
「ディズニーランドは、けっして完成することはありません。世界に想像力があるかぎり、永遠に成長し続けます」
ディズニーが未完成というのは、完成しないまま見切り発車でオープンさせたという意味ではありません。現時点では最高のものだが、いまが終着点ではなく、つねにベストを更新していくという意味です。
顧客の心を震わせる商品やサービスについても、同じことがいえます。未知なるものを顧客に一度提供できても、そこがゴールではありません。顧客を感動させたことに満足することなく、さらに想像力を発揮して新しい価値を生み出し続けていくことで、顧客の心をつかみ続けることができるのです。
実際、ディズニーが長く愛されているのも、スクラップ&ビルドを繰り返してきたからです。アトラクションでいえば、「カリブの海賊」は映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の要素を取り入れてリニューアルしたし、「シンデレラ城ミステリーツアー」のようになくなってしまったものもありました。いずれも人気のあるアトラクションでしたが、ディズニーにとっては未完成。ゲストにさらなる感動を与えるためには、絶えず変化を続けてきたのです。
今年10月30日、オリエルタルランドは今後10年間で5000億円を投資して、ディズニーランドのファンタジーランド再開発や、ディズニーシーの新エリア開発を行うことを発表しました。現在、業績は絶好調ですが、そこに満足せずに変化を続ける。そこにディズニーの強さがあります。